第18回ベースキャンプ・イベント「ソニーミュージックグループが提案する 新しいエンタテインメントの世界」が、2019年12月4日(水)ソニーシティ大崎にて開催されました。
今回、事前申し込みの総数が歴代最多となる900名を超える応募があった関係で、メイン会場であるソニーシティ大崎のAホールだけでは収容出来ず、BとCホールにも生中継するライブビューイングのスタンバイを組むなど異例の形で迎えたイベントとなりました。
目次
Agenda
【セクション1】
・「ソニーミュージックグループが挑戦するエンタテインメントの現在と未来」
ソニーミュージックグループのエンタメに対する取り組み (登壇者:水野道訓会長)
【セクション2】
・「テクノロジー×エンタテインメントの事例紹介」
(1) 「ソードアート・オンライン-エクスクロニクル」をはじめとした
エンタテインメント×研究開発の取り組み (登壇者:松平恒幸、荒木俊之)
(2) デジタル声優アイドル「22/7」の視点で見るテクノロジーの活用 (登壇者:三浦紹)
【セクション3】
・「新たなエンタテインメントビジネス創出に向けての取り組み」
(1) ソニーミュージックグループのアクセラレーションプログラム「ENTX」(登壇者:古澤純)
(2) 新しい音楽体験を創出するプロジェクト「ゆるミュージック」(登壇者:梶望、澤田智洋、福田正俊)
【セクション1】
ソニーミュージックグループが挑戦するエンタテインメントの現在と未来
水野 道訓
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
代表取締役会長CEO
50年のあゆみ 〜CBS・ソニーを源流とする多様性〜
トップバッターで登壇した水野会長からは、ソニーミュージックの沿革についてのお話がありました。今から51年前の1968年にアメリカのCBSレコードとソニーとの50%ずつの出資により日本の中で外資第一号となるジョイントベンチャー企業“CBS・ソニーレコード”として設立され音楽出版事業を開始。その後すぐにレコードの工場が作られ、レコードの倉庫・物流事業や音楽アーティストやタレントのマネジメント事業が開始、さらにはキャラクター事業やZepp運営などにみられるライブソリューション事業、アニメ事業といったように、水平展開により事業が多角化してきたことに触れ、レコード会社として音楽事業だけを行うのではなく色々なビジネスを派生していこうという理念のもと、最初から多角化・多様性を押し進めてきたソニーミュージック、そのDNAは今日のソニーが掲げている多角化・多様性の原点であるとも言われています。
横断的に物事を考えた方が大きなビジネスが出来る
総合エンターテイメントビジネスをしている会社として、現在ソニーミュージックには20ものグループ会社があります。どの会社も利益を出さなければ意味がないということが染み付いている為、利益に聡い社員が多いことが強みでもある一方で、利に聡くなると商売が小さくなり殻を破った大きなビジネスが出来なくなるということがその弊害として、ここ数年は課題とされてきました。コンテンツでどれだけマネタイズ出来るかということを考えるには、ある程度大きな括りにしておかなければ瑣末なことになってしまうという事から、昨年からはグループ会社を3つの大きい括りに組織体制を見直しました。
ソニーミュージックのビジネスモデル
ソニーミュージックのビジネスを考えていくうえで、コンテンツを中心としたデジタル、リアル、ライブをという三角関係の構図が重要となります。
・コンテンツ:アーティスト、楽曲、音源、アニメ、映像、モバイルゲーム、キャラクター
・デジタル:配信、eコマース、デジタルビジネス
・リアル:CD、アナログレコード、物販(マーチャンダイジング)
・ライブ:LIVE、人を集めるビジネス、
日本の音楽ビジネスにおいて、CDが売れなくなったことで原版ビジネスが減衰しているのは事実ですが、ライブに関してはこの10年間7〜8% ずつ上がり続けていて、ライブまで含めると日本の音楽ビジネスは確実に上がっていると言えます。
また、アーティストによっては、CD(リアル)が強い人もいれば、CDは全然売れないけどLIVE(ライブ)は即完売になる人もいる、または配信(デジタル)に特化して稼ぐ人もいるなど、コンテンツを真ん中に置いた時に、この3つをどう組み合わせマネタイズを考えるかというのが今のソニーミュージックのビジネスモデルなのです。
更に、ソニーミュージックではコンテンツだけでなく、これらを展開するためのインフラを自前で持っている。販売インフラ、製造物流インフラ、著作権・契約法務インフラ、放送・出版インフラ、イベント企画・制作インフラ、ライブインフラ、シェアードサービスインフラ、配信・ECインフラなど、これらを総括して持っているのがソニーミュージックの強みであり、このインフラがマネタイズを大きくしていきます。
ゼロ→ヒット→最大化
チャレンジをしてゼロイチをどれだけつくるか、コンテンツIPをどう産むか、あるものを持ってきてどう極大化していくかが大事であり、ゼロイチには失敗はつきものなのだが、失敗するということにソニーミュージックが萎縮していきているので、挑戦することに評価するような制度を作ろうとしている。
更に、イチから最大化していくところにおいても、インフラを使ってどれだけヒット最大化させていくかを考えることがこれからのビジネスとして重要だと話されました。
《過去》
アーティスト→CD→配信→原版ビジネスでやってきたのがレコード会社
《現在》
アーティストごとの売り出し方、どういうビジネスが出来るのかを考えていく時代
【セクション2】
「テクノロジー×エンタテインメントの事例紹介」
(1) 「ソードアート・オンライン-エクスクロニクル」をはじめとした
エンタテインメント×研究開発の取り組み。
松平 恒幸
株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ
マーケティング戦略本部
兼
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
EdgeTechプロジェクト本部VRチーム
コーポレートビジネスマーケティンググループAIE準備室
WEBディレクターとしてソニー製品のWeb制作を行い、aCafeの企画制作など担当後、プランナーとして新規事業開発を担当し、キャラクター音声対話やVRの事業化のトライアルを行う。
Anime Japanでは、最先端技術とアニメのシナジーを紹介した「加藤恵Project」や「魔法師開発研究所」を企画制作。その他、エキシビジョンや遊園地アトラクションの企画なども担当。
原作小説『ソードアート・オンライン』第1巻の刊行10周年を記念して、シリーズ集大成となる体験型展示イベント『ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-』を開催。
2019年8月4日(日)〜8月18日(日)の14日間で約4万人が来場、当初の想定MAXキャパに対して95%を達成する大成功を収めたイベントの全容をお話し頂きました。
同イベントでは研究開発機構《ラース》をモチーフに、ソニーの最先端技術を駆使し、
ソードアート・オンラインの世界を表現。
この開催にあたり、ソードアート・オンラインが持っている意味、作品自体の文脈というものが、ソニーが目指していく技術が描いていく未来というものと文脈的に合致しており、ソニーのブランディングにも寄与し、ファン(主に10〜20代)の人たちに対してソニーが先端技術をみなさんの未来にどのように生かしていくのかをメッセージとして投げかけたいという思いがありました。
ソニー施策
ソニーR&Dが追究しているVR・AR・AI技術を、ソードアート・オンラインの世界観をモチーフに具現化。ソードアート・オンラインとの親和性も考えて選び出された先端技術として4つの施策を導入。
(1) Sound ARを用いた新しい音声ガイド体験を実地初投入
周囲の音と再生している音がブレンドされるオープンイヤースタイルを採用した音声ガイド。バイノーラル録音を用い、キャラクターがあたかも隣にいるかのように案内。
(2) 最新の立体映像技術である空間再現ディスプレイを活用しアニメシーンを再現
これも実地初投入として、見事にキャラクターの実在感を手元で体感させた。
(3) AI同士の会話メソッドとソニー製音声合成
来場者から事前に収集した会話データを基に作られた自分のフラクトライトとキャラクターが音声合成で自動的に会話を始め、対話する様子を観覧するという技術展示。
(4) 軽装モーションキャプチャ
身体上の6箇所にセンサーを付けるだけで、高精細なモーションキャプチャが出来る技術を用いた施策で、画面内のキャラクターにリアルタイム投影させることで、キャラクターになりきって剣を振るい、敵を討伐する簡易ゲームコンテンツを開発。
荒木 俊之
ソニー株式会社
R&Dセンター事業探索・技術戦略部門
事業探索グループ 事業探索3課
2008年ソニーTV商品企画、2014年カーオーディオ商品企画を経て、2015年にR&Dの新規事業部署に異動。2017年の本社経営企画の後、2018年よりR&Dセンター事業探索グループでエンタ向け研究開発探索活動を担当。
なぜ、技術協力に至ったか?
R&Dセンターとしては、これまでエレクトロニクスや半導体向けが中心だった研究開発を、エンタテイメントに向けても加速させていこうという方針があったが、エンタテイメントに向けたテクノロジーというものが何なのか解らなかったこともあり、
2018年にソニーミュージックとR&Dセンターとで共創プロジェクトを発足。
エンタテイメントの現場にどんな課題があって、どういったテクノロジーで解決できるのかを探索する活動を始め、その中のひとつとして、今回のイベントの技術協力に至ったとのこと。
SAO展でのチャレンジ
(1) IP&ファンニーズドリブンの技術協力のスタディ
・IPの世界観を表現するための技術を選定する
→技術ありきではなく、顧客が喜ぶ体験があってそれに合った技術を選定するプロセスを踏んだ
・ファンに近い人間によるニーズドリブンなプロセスを取る
→作品ファンやアニメ好きのエンジニアに手を挙げて参加してもらい彼らに企画を推進してもらった。
(2) IPの力を活用した研究開発方法のスタディ
・ファンコミュニティやリアルの場からのデータ取得
→リアルな場に人が来るので研究開発用のデータを取得し、研究開発を加速させる
・大量の来場者からフィードバックを取得する
この2つを大きなコンセプトとして企画を進めていった結果、ファンコミュニティやリアルな場を活用して大量のデータ取得に成功したとのことです。例えば、対話AIなら1ヶ月で数万件の会話データを取得。他社のこれまでの事例に比べて数が多く、質も高いデータを収集をすることが出来、エンタテイメントコンテンツの持つ強力なファンコミュニティは研究開発を加速させる可能性を秘めているということを実感しました。
クリエイター向けの技術探索
一方で、お客さんを感動させるエンタテインメントを作るためには、必ずしも最先端技術が必要でないことも実感したとのこと。イベントでの満足度ナンバーワンは、既存技術を組み合わせた四面シアターだったそうです。なので、共創プロジェクトでは、エンタテインメントそのものへの最先端技術の適用だけでなく、クリエイターの課題解決に技術が活用できるかという観点でも、継続して活動を行っていきたいとのことでした。
(2) デジタル声優アイドル「22/7」の視点で見るテクノロジーの活用
三浦 紹
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス
22/7(ナナブンノニジュウニ)とは?
「声優」「キャラクター」ともにアイドル活動をするグループ
秋元康さんが総合プロデュースの元、ソニーミュージックとANIPLEXがタッグを組んだアイドルプロジェクト22/7。日本を代表する有名クリエイターがてがけたキャラクターを演じる声優アイドルを募るオーディションで結成された。
3次元・声優アイドル↔︎2次元・キャラアイドル
22/7のテクノロジー活用事例
3次元と2次元のシンクロ=声優によるモーションキャプチャーを収録し、
それがMUSIC VIDEOやVTuber、キャラクターによるバラエティTV番組を制作。
22/7がソニーとどういうことをやったか
・Project Lindbergh(プロジェクトリンドバーグ)
VRゴーグルをかぶり、2次元キャラクターアイドルとのOne to Oneコミュニケーションができるサービス。デジタルアイドル、VTuber、アニメキャラなど、今まで「握手会」ビジネスが出来なかったIPに対して、握手会ビジネス機会を創出。ネットワークさえあれば体験可能なため、海外展開が容易。
・メゾン22/7
PSVR向けのコンテンツとして出した実写VRコンテンツ。
アイドルが住むシャアハウスに遊びに行って、アイドルたちと一緒にライブ映像を観れるというVRコンテンツ。
・VRライブ生配信
VRライブカメラを、演出的にVRでどうやったら面白いかを突き詰め、
メンバーが輪になって踊る曲で真ん中にVRライブカメラを設置し、
そのカメラを特等席に座っているお客さんだと思って回りながら微笑みかけるといった演出をライブ生配信で行った。
なぜ22/7はテクノロジーを活用しているのか
テクノロジーを活用しているのは、大きく分けてこの2つがあります。
1. アイドル活動・ビジネスをキャラクターでもできるようにしたいから
→二次元と三次元の融合というプロジェクト自体のコンセプトがあり、
それをやるためには何かしらのテクノロジーが必要
2. 「新しいこと」それ自体をブランディングに役立てたいから
→Perfumeやサカナクションにもそういった面がありますが、
何か新しいことをやっていると、IP自体に畏怖の念を抱いてくれたり
するのでアーティストのブランディングとしては結構大事。
TECHNOLOGYを活用して、ひとをKANDOさせる上で、
人間の身体拡張的な技術は不可逆だが、人間の脳内・記録体験なKANDOは人によってバラバラであるということを理解しておく必要がある。
【セクション3】
「新たなエンタテインメントビジネス創出に向けての取り組み」
(1) ソニーミュージックグループのアクセラレーションプログラム「ENTX」
古澤 純
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
事業戦略グループ 事業戦略チーム 兼 事業創発推進チーム チーフマネージャー
アクセラレーションプログラム「ENTX」を担当
1995年に入社後、レーベル制作・宣伝部門、音楽デジタル配信部門、人事(採用・研修)部門、経営企画部門を経て、現在に至る
ENTX(エンタエックス)2019
何故、今、アクセラレーションプログラムなのか?
あらゆる企業で自分が変化していくことが求められている世の中において、
既存事業はいつか必ず衰退し、変化するものだけが生き残るということは、
歴史が証明していることです。
自分たちが変化していくイノベーションの方向性には、
持続的イノベーション(=連続的)と破壊的イノベーション(=非連続的)の2つがあり、
この破壊的イノベーションこそ、これまでソニーミュージックがソニー各社とやってきている事でもあると言えます。ただ、これは時として脅威にもなり得ます。特に外部から破壊的イノベーションを起こされてしまうと、これまで平和にやっていた企業の持続的イノベーションをことごとく凌駕されてしまうのです。最近の世の中では、このような事が既に起こっています。
オープンイノベーションの必要性
自分たちでイノベーションを起こしていかないといけない、
オープンイノベーション=企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、
新たな価値を創造すること、社内で研究開発された技術だけではなく、
スタートアップ企業などの他者と連携する事によってノウハウや技術、アイデアを共有して新しいビジネスを効率的に共創させていく仕組み。
その中でも、このENTXではスタートアップとのオープンイノベーションにフォーカスを当ててやらせてもらっている。その理由は、スタートアップとやる事によって、スピード重視、小さい失敗を早くする、高速でPDCAを回していくといったことが、比較的スタートアップとやると早くできると言われているので、その力をスタートアップからお借りして、自分たちでもこういうことをやっていこうというのがスタートアップと組んでいる意義。
スタートアップとの連携には、それぞれの目的に適合した手法が必要となるが、
企業としてイノベーションを起こしたい、文化を醸成したい、新しい市場に切り込んでいきたいといった目的に一番合致するのが、アクセラレーションという研究結果などもあるので、ソニーミュージックではアクセラレーションプログラムENTXをスタートしました。
音楽・エンタテイメントを再定義、これまで閉じ込められてきたコンテンツをどんどん外に解放し、拡張していくことで新しい価値をつくりだせるのではないかというコンセプトのもと「Entertainment Explosion」を立ち上げ、これを略して「ENTX」とした。
世の中の課題の解決を目指すスタートアップ企業の事業テーマ×エンタテインメントのチカラで、新たな価値を生み出すことに挑戦したい。
(2) 新しい音楽体験を創出するプロジェクト「ゆるミュージック」
梶 望
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
第3レーベルグループエピックレコードジャパンオフィスRIA制作部
最後のセクションでは、冒頭に梶さんからエンタメ業界で仕事をしている意義についてのお話がありました。子供たちが泣いて喜んでいる姿、感動している姿を見た時に自分も感動をする、子供たちに未来とか希望とか夢を与えることのできる近いところにいるのがエンタメでもあるし、子供たちにとっての未来を作ってあげたいというのが今のモチベーションになっている。
ところが現実を見るとエンタメの多様化などもあり、音楽エンタメ業界にも課題が出てきている。その一つは、音楽に興味がない子供たちが増えてきているということ。他にも絵本を読まない家庭が増えてきていて、それが全体の10%ぐらいともいわれている。
競技人口が増えないとビジネスチャンスも広がらないので、「音楽を好きになってもらう」「音楽を経験してもらう」というゼロイチのところから作っていかないと、何も出来ないのではないかという危機感を抱いている。
そのような時に、ゆるスポーツ協会をやられている澤田さんから、音楽でやりたいという話があり、同協会のセオリーや知見を借りながらテクノロジーの力を使って競技人口を増やすという活動として「ゆるミュージック」をゆるく始めているところです。
澤田 智洋
世界ゆるスポーツ協会代表/福祉クリエイター
文部学科省のスポーツ庁が発表したスポーツ実施率のデータを見ると、日本人の45%は日頃スポーツをしていない=SPORT MINORITY(スポーツ弱者)がいることを知り、運動が苦手な人たちでも気軽にスポーツを始められることを目的として2015年に世界ゆるスポーツ協会を設立。既に80もの競技を新しく生み出している。
ゆるスポーツ協会の活動をしている中で、別の弱者がいることに気がつきました。
それは、日常的に楽器を演奏していない=MUSIC MINORITY(楽器弱者)の存在です。彼らはスポーツ弱者をはるかに上回る日本人の90%にも及んでいることもわかり、ゆるスポーツと同じ要領でリズム感がなくても、過去に楽器で挫折したことがあっても気兼ねなく楽しく演奏出来る楽器を作りたいと構想を練っていたところ、梶さんとも意気投合し、2019年4月に世界ゆるミュージック協会の設立に至りました。
福田正俊
ソニー・ミュージックエンタテインメント コーポレートビジネス マーケティンググループ BCルーム プロデューサー
営業、映像制作、宣伝、Webマスター、音楽専門チャンネル営業、広告制作など多数の部署を経て、現在新規ビジネス開発を担当。
ソニーグループ横断型VRプロジェクト「Project Lindbergh」では、主にコンテンツブッキング、社外とのコネクション作りを担当している。
ゆるミュージックに使われている楽器にはソニーのテクノロジーが使われているものがいくつかあります。
音楽経験などがなくても楽器を演奏することを実現させたテクノロジー、その一つをご紹介して頂きました。
日頃いろいろと技術者の方と情報交換活動をしている時にSpresenceというデバイスの開発者と出逢いました。低消費電力とオーディオ処理に強いという点が特徴と伺ったので、これは楽器に最適では?と思い、開発協力をいただいてできあがった楽器がウルトラライトサックス(仮)です。
おもちゃのサックスにマイクを取り付けSpresenceで処理することにより、鼻歌を歌うだけでサックスを奏でることができます。
また、同じテクノロジーを使って、ウルトラライトトランペット(仮)やウルトラライトカホーン(仮)など、いろいろな楽器の開発にトライしています。
今回、ご登壇頂きましたソニーミュージックグループの皆様、大変貴重なお話をありがとう御座いました。ご登壇された方たち全員が、日頃から既存の形に捉われることなく常に新しいことにチャレンジし続けているからこそ、一つ一つの言葉に説得力と重みがあり、何よりもエネルギーが満ち溢れている、エネルギッシュな印象を受けました。
そして、ソニーミュージックグループという組織が持つ計り知れない可能性であったり、事業の水平展開により多角化を進めてきた歴史に裏打ちされた精神や社風、そしてそれに甘んじる事なく、あらゆるビジネスの形を模索し続ける多様性など、現代社会における企業が目指すべき理想な形を体現しているような存在であるようにも強く感じました。
文: フロンテッジ 天野誠司さん
写真: SIPS 北川さん、森さん