開催レポート『エンタメ x テクノロジー』/ シリーズ企画『研究を事業にするには』Vol.2 / 2022.03.02

シリーズ企画「研究を事業にするには」の第2回の機会として「エンタメxテクノロジー」をテーマに開催させていただきました。
ソニーグループでの新たな可能性として期待される「エンタメxテクノロジー」の『実際』と『今後の可能性』について登壇者のみなさまと『本音ベース』でトーク形式で行わさせていただきました。
また前回の「メタバースとは」の続編的な位置付けとして企画させていただきました。
こちらではその内容を補足を含めてレポートさせていただきます。

研究を事業にするには_vol.2


目次

【アーカイブ動画はこちら】

※音量調整を施した修正バージョンになります。

ソニーグループ向けの限定公開方式
アーカイブ動画(YouTube限定公開/音量調整バージョン)


【はじめに】

活動について

シリーズ企画「研究を事業にするには」についてご紹介させていただきます。
このシリーズは「ビジネスの現場」と「研究開発」のコミュニケーションの「場」を創出することを目的としてR&Dのメンバーを中心に運営を行なっている活動です。
普段なかなか接点の少ない「ビジネス」と「研究開発」の現場をつなげ、「生の声」を伝える場として作っていけたらと思っています。
またそこから研究開発を事業へつなげるきっかけを作れればと思っています。
本シリーズ企画はトライアル開催です。
今後については新しい形も含めて検討して参ります。



コンセプト

本シリーズのコンセプトは登壇者のみなさまから「本音」を引き出すことにあります。
登壇者のみなさんが「本音」で話しやすいように「深夜ラジオ」のような雰囲気で行うことを心がけています。
雑談の中から新たな発見やアイデアの創出にもつながればと思っています。



ご協力いただいた皆様

企画から運営、配信においてさまざまな方にご協力いただいております。
この場を借りて御礼申し上げます。



前回レポート

前回『メタバース』とは2000名近くの方にご参加いただきました。
開催レポートについてもたくさんの方にご覧いただきありがとうございます。
下記より開催レポートをご覧いただけます。
ご興味ある方に引き続きシェアください!



前回『メタバースとは』開催レポートはこちら!

【開催レポート】Vol.1 「メタバースとは?」/ シリーズ企画「研究を事業にするには」



今回のテーマ

今回はエンタメビジネス、そしてソニーグループの新たな可能性「エンタメxテクノロジー」について知っていただく&考えていただく機会として開催しました。
「エンタメ」と「テクノロジー」を掛け合わせて「新しい価値」を生み出すために必要なこと、そしてエンタメビジネスの本質や実際への理解についても知っていただけたらと思っています。
それらのことよりソニーグループならではの『新しい可能性』についてみなさんと考える機会にできればと思います。



前回とのつながり

前回「メタバースとは」との続編企画として、その中で触れた課題や「ソニーならではの可能性」について、引き続き触れていきます。
エンタメビジネスの本質や実際を知ることから、これからの「メタバース」のような『新しいエンタメビジネス』の創出においてもブレない『視点』を持っていただけるヒントについてもお伝えできればと思っています。



資料について

今回もご紹介事例などの情報をまとめた『補足資料』をご用意しています。
下記よりアクセスください!

ご紹介事例などの『補足資料』はこちら!
https://basecamp-online.com/res-busi-vol2-info/#case-study



参加者アンケートまとめはこちら!

エンタメ x テクノロジー / シリーズ企画「研究を事業にするには」/ アンケート結果まとめ



プログラム


【みなさんが知りたいことまとめ】

導入



安達さん

今回もファシリテーターのR&D事業探索部門の安達さんにみなさまのお申し込みアンケートからの分析を行なっていただきました。



頻出ワード

頻出ワードとしては今回のタイトルワードでもある「エンタメ」と「テクノロジー」そして前回テーマでもある「メタバース」が続きます。
ワードの大きさは頻出度、ワードの距離はそれぞれの関連性を表します。



因子分析


クラスタ分析

みなさんが知りたいことについてもまとめていただきました。

○ゲームやライブなど、リアルタイム&リアル空間行われるエンタメとテクノロジーの新たな融合について
○コンテンツをどう生かすか、映像技術やエンタメビジネスの期待について
○複数事業連携、既存/新規事業間の融合の課題について
○メタバースと組み合わせる新しい体験、楽しい体験を通じたビジネス発展について
○ソニーならではのエンタメとテクノロジーの可能性の最新動向について

アンケートにご記入いただいた内容より、今回のトークテーマにも反映させていただきました。


【Sec1.エンタメxテクノロジーの取り組みや事例紹介】

Sec1



松崎さん



Sec1.ではSMS(ソニー・ミュージックソリューションズ) ビジネスクリエーションカンパニー
エンタノベーションオフィスの松崎知子(まつざきともこ)さんにご登壇いただきました。
SMSでの「エンタメxテクノロジー」の取り組み、これまでの事例についてご紹介いただきました。
松崎さんはAnimeJapanでのPoCをきっかけに、さまざまなIP x テクノロジー企画の推進を担当されています。

AnimeJapan オフィシャルサイト
https://www.anime-japan.jp/


エンタノベーションオフィスについて

エンタノベーションオフィス



松崎さんが所属するSMSの『エンタノベーションオフィス』についてもご紹介いただきました。

会社としてエンタメとテクノロジーの新しい可能性を含む新規事業部門の設立にあたって、単に「新規事業開発室」という普通の名前をつけるのではなく、もっと面白い名前をつけた方がいいということで会社の周年スローガンでもあった「エンタノベーションオフィス (エンタメ + イノベーション)」と決まったそうです。

【Purpose】
エンタテインメント目線でイノベーションを起こし、社会がもっと楽しくなるような感動や驚きを提供すること。

【Mission】
次世代サービスやプラットフォームを構築し、SMSの新しいソリューションを作ること



【Purpose】と【Mission】に挙げられているようにエンタメを軸にさまざまな挑戦をされている部署です。
ちなみにエンタノベーションオフィスは企画室ではなく、営業部門であり、しっかりと収益を出すところまで含めて事業を立ち上げていこうという強い想いの元に活動されているとのことでした。


新規ビジネスを創る過程(フロー)

新規ビジネスを創る過程

最初に『新規ビジネスを創る』過程(フロー)についてご紹介いただきました。
『サービスのアイデア』については意外にも『雑談』からヒントを得ることが多いとのこと。
また『SF作品』からヒントを得られることも多いとのことでした。
そこから実際にビジネスとして成り立つかどうかについて『マーケティング戦略』を考えられていくとのことでした。
マーケティング戦略でうまくいかないとわかった時にはその解決策を探したり、時には再び『サービスのアイデア探し』へ戻り、新たな可能性を探すことも行われるとのことでした。

PoC (Proof of Concept: 概念実証)とは
新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。
検討したアイデアやコンセプトの実現可能性を見極め、期待した効果が得られるかどうかの判断を行うこと。


PoB (Proof of Business: ビジネス実証)とは
ビジネス仮説や費用対効果、損益分岐などを含む事業的な有効性を検証すること。



部門としてはサービスイン前後の活動も大きなウェイトを占めているということで、「段階を踏んだ市場テスト」や「サービスインをした後の体制づくり(保守も含め)」にも力を入れられているということでした。


「エンタメxテクノロジー」の事例紹介

事例紹介

ここからはこれまで取り組まれてきた「エンタメxテクノロジー」の事例についてご紹介いただきました。


SMEの最新エンタメ情報&事例満載のおすすめメディア『Cocotame(ココタメ)』のご紹介

SMEが取り組む最新エンタメ情報やこれまでの事例についてはSMEの自社メディア(オウンドメディア)の『Cocotame(ココタメ)』をご覧いただくのをオススメします。
新しいエンタメのトレンドの発信から「エンタメxテクノロジー」の裏側まで濃い情報を本当に丁寧な記事でまとめられています。
SMEのみなさまの取り組みを知る上でもぜひチェックください!

Cocotame

Cocotame (ココタメ)
https://cocotame.jp/

「エンタメxテクノロジー」の事例についてはこちらより検索できます。
(#テクノロジーの記事)

https://cocotame.jp/word/category-technology/


LINE MUSICカラオケ機能/採点機能

LINEカラオケ



1つ目の事例として「LINE MUSICカラオケ機能/採点機能」をご紹介いただきました。


LINE MUSIC関連情報

『LINE MUSIC』でカラオケを実現させた「音源分離技術」は過去と現在の音をつなぐ夢の技術だった【前編】
https://cocotame.jp/series/016464/

『LINE MUSIC』でカラオケを実現させた「音源分離技術」は過去と現在の音をつなぐ夢の技術だった【後編】
https://cocotame.jp/series/016476/

LINE MUSICの「カラオケ機能」はソニーグループR&Dの「音源分離技術」を使って実現しているそうです。
先日アップデートが行われ、新たに「採点機能」も搭載されたということです。

LINE MUSIC、アップデートで3つの新機能を追加
https://note.linemusic.jp/n/n94bc07b86dff



ボーカル除去処理はリアルタイムに行われているそうで、リアルタイムでの処理だからこそハードルの高い著作権許諾についても理解をいただき実現しているそうです。
LINE MUSICのカラオケ機能の良さは、原曲を使ったカラオケができるところにあるということです。
一般的なカラオケシステムは別途作成したMIDIデータを再生しているため、原曲を使っているのはLINE MUSICならではの強みだということでした。

カラオケ機能の実現は、企画提案者が「絶対に原曲でカラオケ」がしたいという情熱から始まったそうです。
そこから技術を探したところ、R&Dの「音源分離技術」にたどり着いたそうです。
技術も大事ながらも「こうやったら楽しい」という情熱を元にアイデアを出していくこともとても重要で、情熱があるからこそその後の実現までの高いハードル(長い開発&調整期間)も超えていけるとお話されていたのがとても印象的でした。

サービスをリリースして外部へ情報発信することで、外から「こんなこともできるんでしょうか?」のような問い合わせがあり、次につながるきっかけにもなったそうです。
技術を世の中にソリューションとして出していくことで広がる可能性を知ることができました。
ソニーグループのさまざまな技術が新しい体験として外へ発信されていくことが楽しみになるような事例でした。


ムーミンバレーパーク 「サウンドウォーク」

ムーミンバレーパーク

2つ目の事例としてムーミンバレーパークでの「サウンドウォーク」の取り組みをご紹介いただきました。

Sound AR™関連情報

ムーミン谷の音を現実に拡張させる技術『Sound AR™』――音で伝えるムーミンの物語の世界観【前編】
https://cocotame.jp/series/008970/

ムーミン谷の音を現実に拡張させる技術『Sound AR™』――音で伝えるムーミンの物語の世界観【後編】
https://cocotame.jp/series/008971/

Locatone Official Site
https://www.locatone.sony.net/



ソニーの「Sound AR」技術を活用したサウンドデバイスアトラクションとして、現在はソニー株式会社が「Locatone(ロケトーン)」としてサービス展開されているそうです。
スマホのGPS機能を使われていて、特定のスポットを訪れることで設定した音声が流れます。
「風が吹いた」「誰かが歩いてきた」というような臨場感あふれる演出ができるそうです。
SMSとしては「コンテンツ制作」や「運用の上での課題の洗い出しやビジネス化のサポート」などを担当されたそうです。
実際に試すことで、コンテンツ制作に実際にどのくらいの工数が必要なのか、コンテンツごとの作り方、プロモーションの仕方などさまざまなことに気付かされたそうです。
「まずはやってみる」という姿勢で挑戦することの重要性をお伝えいただいた事例でした。

ムーミンバレーパークをターゲットに選ばれた理由としては、「クローズドな環境であることでのテストのやりやすさ」を1つ挙げられていました。
また美しい風景などのロケーションがあったことも理由の1つで、その場をSound ARでいかにして盛り上げるかということなどを考えられたそうです。

Locatone しながわ水族館
https://www.locatone.sony.net/ch/8/



しながわ水族館でのコンテンツもこだわって作られたそうで、実際に「イルカの声の録音」などもされているそうです。
お客さんにどんな楽しみを体験してもらえるかというこだわりが詰まったサービス、ぜひみなさまもご体験ください。

また「サウンドウォーク」のネーミングについても伺ってみました。
ネーミングに秘められた価値も含めて、「どのようにお客様に楽しみ」を伝えていくか、ということは本当に大変なポイントだということです。
さまざまな試行錯誤を繰り返しながらお客様に価値を伝えていくということに取り組まれているそうです。


対話型キャラクターエージェント 「CHELULU(シェルル)」

対話型エージェント

3つ目はソニーの音声認識やシナリオ対話ツールなどの対話エージェント技術を駆使した、対話型キャラクターエージェント「CHELULU(シェルル)」をご紹介いただきました。

対話型キャラクターエージェント関連情報

CHELULU OFFICIAL SITE
https://chelulu.jp/s/chelulu/?ima=1939

音声合成技術が切り拓く、新時代のキャラクタービジネス
https://cocotame.jp/series/008826/

ソニーのキャラクター対話AI技術
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/research/projects/character_conversation_AI/

バーチャル女子アナ「沢村碧(さわむらみどり)」、ソニーが提供開始 原稿を自動読み上げ
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/03/news108.html

アバターエージェントサービス 沢村碧(さわむらみどり)
http://avataragentservice.jp/

対話型キャラクターエージェントサービスを提供して、受付に配置してもらったり、ニュースを読み上げてもらったりしているそうです。
現在の形に至るまでは本当にさまざまな試行錯誤を長い時間かけて行われてきたそうです。
過去にトライアルでアプリとして「めざましマネージャー アスナ」という形でもリリースされています。

「めざましマネージャー アスナ」開発者に聞く“俺の嫁”が日常に溶け込む未来
https://japan.cnet.com/article/35067902/

Oculus創設者のパルマーさんもSAO展向けのトークの中で「めざましマネージャー アスナ」を絶賛されています。

Oculus創設者パルマーさんとイベントについての貴重なスペシャル対談が実現



さまざまな取り組みを通して可能性を探しながらも、事業会社という立ち位置での苦労も多いとのことです。
SMEでは事業会社が受け持つまでの手前の部分を行う部署(SMEヘッドクォーターのマーケティングオフィス)もあり、そことの協力して検討ステップを踏むという段階を経ることもあるそうです。
現在はSME EdgeTechプロジェクト本部(後述)という組織があり、事業化を考える前のものをそちらで検討しているということです。
そこで目処が立ったものがその後、事業会社へバトンタッチされるそうです。

対話型キャラクターエージェントはこれまでマネタイズなどの点で苦労されてきたそうですが、これからのメタバースの分野なども含めてさまざまな期待がされているということです。


研究と事業の間の大きなハードルについて

研究と事業との間の大きなハードルについてもお話いただきました。
その大きなハードルを渡るためにも真ん中に一つ組織があることが必要なのではということを実際の体験よりお話されていました。
ビジネスとしてスケールさせていけるのかどうかというところも含めて、テストを行える「場」が必要だとのことでした。
SMEでもエンタノベーションオフィスやEdgeTechプロジェクト本部のような組織が重要な役割を果たされているというお話がとても印象的でした。
またソニーグループ全体でもそのような役割を担う場が必要なのではとお話されていました。


仮想空間エキシビジョン VRデビルマン展 & ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- Online Edition

4つ目の事例として仮想空間エキシビジョンの「VRデビルマン展」と「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- Online Edition」をご紹介いただきました。

デビルマン展

VRデビルマン展 関連情報

VRデビルマン展

『VRデビルマン展』の成り立ち――仮想空間で行なう哲学エンタテインメント・エキシビション【前編】
https://cocotame.jp/series/019768/

『VRデビルマン展』の成り立ち――仮想空間で行なう哲学エンタテインメント・エキシビション【後編】
https://cocotame.jp/series/019781/

VR デビルマン展 Official
https://virtualutopia.jp/s/v01/?ima=2238


ソードアートオンライン展 EXCHRONICLE Online Edition 関連情報

オンラインイベントのVR化で見えてくる『ソードアート・オンライン』が拡張しつづける理由【前編】
https://cocotame.jp/series/025191/

オンラインイベントのVR化で見えてくる『ソードアート・オンライン』が拡張しつづける理由【後編】
https://cocotame.jp/series/025210/

公式サイト
https://2021.sao-ex-chronicle.com/s/excglb/



両プロジェクトとも共通点があります。
「Project Lindbergh(ソニーグループ横断のVRプロジェクト)」の開発した仮想空間エキシビジョン基盤を使用したオンライン展示会であるということです。
これらのプロジェクトで貯めたノウハウが今後のメタバース分野でも活かせることを期待されているそうです。

VRデビルマン展は先進映像コンテンツを表彰するコンテスト「ルミエール・ジャパン・アワード2021」でグランプリを受賞されたそうです。
ソードアートオンライン展のOnline Editionは昨年一度開催され、海外含むさまざまな方面で好評だったそうです。
2月末よりも海外を中心に再度の開催が実施されています。

オンラインの展示を手がけることになった経緯としては、SMS(ソニー・ミュージックソリューションズ)がこれまでリアルの展示会を手がけてきたことに起因するそうです。
リアルの展示会のノウハウを元に如何に仮想空間の展示会を行うかというところから挑戦が始まったそうです。
「コンテンツの新しい見せ方」についてさまざまな協議を重ね、トライアルを行われたとのことでした。


「失敗してもいいから挑戦する」「失敗を恐れずに行う」というSMEの文化

ただVRデビルマン展は受賞を含め好評ではあったものの、事業的には想定通りにはいかず大きな課題が残ってしまったとのことでした。
しかし「挑戦したことで得られたことの価値は大きい」という意識のもと、終了後にはそれぞれの担当スタッフが反省点などや改善点を出し合って170ページ以上のレポートをまとめられたそうです。
それは今後の新しい取り組みを行う上での大きな財産になるとのことでした。
「失敗してもいいから挑戦する/失敗を恐れずに行う」そのチャレンジ精神を大事にされているSMEならではの貴重なエピーソードを伺うことができました。
「リスクが大きかったとしてもそれを上回る知見を得ることができる」という言葉は本当に説得力があるものと感じました。
「利益以上に得るものがあることを理解していただいて、決済承認いただくことも大事」というお話もとても印象的でした。
松崎さん自身も部下の方へ「リスクを恐れずにチャレンジしてほしい」と伝えているそうです。

170ページの振り返りレポートからのいくつかのエッセンス
○IPを選ぶ際に、IPのファンのITリテラシーを把握する
○どのデバイスを選択するのか
○面白さを伝える方法を考える(体験会など)
○コンテンツへ入っていくきっかけを作る(メタバースなどについても同様)
○リアル空間との違いを把握し、仮想空間からならではの特性やどこまで作るかを決める




【Sec2.(トークセッション) エンタメxテクノロジー(エンタメビジネス)の実際とこれからの可能性】

Sec.2

Sec2は新たなゲストも含めてのトークセッション形式でお送りしました。



Sec.2参加メンバー

Sec1でご登壇の松崎さんに加えて、SME EdgeTechプロジェクト本部の高橋さん、R&Dの石川さん、SOMK(ソニーマーケティング)の佐々木さんにご参加いただきました。



石川さん自己紹介

R&D石川さんは前回に引き続き2回目の登場です。
業務でのXRインタラクション開発だけでなく、ご自身でもVRフェスでのアーティストしての出場経験などプライペートでもさまざまな挑戦をされています。
ビジネス化に対しても強い熱意を持たれて日々研究に挑まれています。



佐々木さん自己紹介

佐々木さんは前回の事後アンケートより企画にご興味ありとご連絡いただき、今回の企画に参加いただきました。
現在入社2年目ということでフレッシュな視点からトークセッションテーマなどについてもまとめていただきました。


SME EdgeTechプロジェクト本部の紹介とその中での取り組み

高橋さん

SMEからのお二人目のゲストということでDI統括本部 先端テクノロジー探索チーム 兼 EdgeTechプロジェクト本部 AXチームの高橋さんにご登壇いただきました。
高橋さんはアニプレックスでの法人営業からアニメ映像制作、ソーシャルゲーム、PCゲームの制作を経て、現在はSMEで先端技術のエンタメへの応用などを試す「EdgeTechプロジェクト本部」にてご活躍されています。



組織図

SMEでのデジタルイノベーショングループの組織についてもご紹介いただきました。
「DI統括本部」はSMEグループ全体のIT推進の中核部署としてシステム戦略を検討、策定、実行されているということでした。
そして「EdgeTechプロジェクト本部」は新規事業を事業会社に渡すまでのインキュベーション(育成)の受け皿として、またソニーグループ横断プロジェクトの運営と推進を担う部署として役割を持たれているとのことでした。



EdgeTechプロジェクト本部

EdgeTechプロジェクト本部の一例として、高橋さんも関わられていた「LSチーム」の活動についてご紹介いただきました。
LSチームではオンラインの音楽ライブ配信にまつわる技術を開発されているそうです。



LSチーム

LSチームでの取り組みの1つとして「撮影から視聴までのワンストップライブ配信ソリューションの開発」を行われているそうです。
コストや手間のかかる部分を排除して省力化することを目指されて開発されているとのことでした。
また省力化だけでなく、「お客様の視聴体験の向上」も目標とされているそうです。



次世代ライブソリューション

次世代ライブソリューションの取り組みの中で高橋さんが関わられていた「高付加価値WG」「翻訳字幕WG」についてご紹介いただきました。



推しメン


1つの事例としてソニーR&Dと共同開発の「推しメンズーム」をご紹介いただきました。

「推し」とは
自分が応援しているアイドルやグループで一番お気に入りのメンバーのこと、またはお気に入りのモノ



推しメンズームではオンラインライブで自由にズームできることを付加価値として追加しようとされているそうです。
また撮影方法も1台の(4K以上の撮影ができる)カメラでステージ全体を撮影するだけ、そして通信料も抑えて(フルHDと同じビットレートで)快適に視聴することができるそうです。



翻訳字幕



もう1つの事例として「翻訳字幕システム」をご紹介いただきました。
日本国内でのライブのMCに(半)自動翻訳で字幕をつけて海外へ配信することを試されているそうです。
ライブの生配信もターゲットにされているとのことでした。
MCはくだけた口語が中心で固有名詞も多く、一般のシステムでは書き起こしが難しいということで、実際のライブMC音声を元に(クリアな音声で取り直した後に)機械学習モデルにかけるなどしての精度向上の試みも行われているそうです。
またライブの音源とMCを分離されるのに前半の事例でもご紹介いただいた「音源分離技術」が使われているとのことでした。

またコロナ収束後のライブエンタテインメントに関しては「ハイブリッド型」が増えていくと予想されるということで、「より高い付加価値」が求められるようになるとお話されていました。


トークセッション・テーマ

ここからはゲストの方を交えてトークセッション・テーマを軸にフリーなスタイルでのセッションを行わさせていただきました。

トークセッションテーマ


「エンタメxテクノロジー」の企画はどこからはじまるのか?

「エンタメxテクノロジー」の企画がはじまるきっかけについて松崎さんにまずお聞きしました。

企画がはじまるきっかけ
○リアルのものをオンラインでやりたいという提案からはじまることも多い
○ニーズがあってそこに当てはまる技術を探すことも多い



また興味深かったのはチーム内での「雑談」からアイデアが出てくることも多いということでした。
他にも「お客様との会話」の中からアイデアが生まれてくることもあるとのことでした。

現在から未来のことを考える上では「SF映画」からヒントを得ることも有効ともお話されていました。
10年、20年先を描いた映画の「あのシーンをやってみたいよね」というところからアイデアが生まれることもあるということでした。

研究開発の立場からR&D石川さんにもお話を伺いました。

○技術開発をするときはエンタテインメントだけでなく他の用途にも広く使えることを考えて行う
○3年後、5年後を見越して説明がつきやすい、価値が理解してもらいやすい分野を模索して研究開発する



もとから「エンタメ」向けに開発されていない技術も多いものの、ニーズと噛み合えば本来の用途の応用として実現することができる場合もあるとお話されていました。
エンジニア側でもSF映画などの作品からインスパイアされるということも多いということで、そこからアイデアを得て試すこともあるとのことでした。

高橋さんにも「エンタメxテクノロジー」のきっかけについてお伺いしました。
元からプロジェクトがある場合も、自分から提案してはじまることも両方あるとのことでした。
高橋さんは「ドラえもん」からヒントを得ることがあるともお話されていました。

エンタメとテクノロジーが一番繋がりやすい部分はSF



エンタメとテクノロジーが一番繋がりやすい『SF』を『共有しやすいイメージ』として持ちながら、エンタメ側と技術側との対話によって進めていくことがあるそうです。
新しいものを生み出していく上で絵や文章などの手段でイメージを共有できるということはとても大きな強みということで、「ドラえもん」のような知名度の高いSF作品があると一発で伝わるということも実感されているそうです。

佐々木さん、安達さんから上げていただいたSF作品や作者情報

瀬名秀明(SF作家)
https://ja.wikipedia.org/wiki/瀬名秀明

クラッシャージョウ (SF作品)
https://ja.wikipedia.org/wiki/クラッシャージョウ

グイン・サーガ
https://ja.wikipedia.org/wiki/グイン・サーガ



SF作品からアイデアが出たあとに「技術検討」を進めながら「マーケティング戦略(マネタイズ、届け方)」などを並行して検討されていくそうです。
その中で脱落してしまうアイデアも本当にたくさんあるそうです。


「エンタメxテクノロジー」のマネタイズについて

申し込みアンケートの中でもたくさんの方から『課題』として上げていただいていた『マネタイズ』関連の話題についてもみなさまに伺ってみました。

まずはエンタメビジネスにおけるマネタイズについて伺いました。
ソリューションビジネスの場合は単体でのマネタイズの想定がもとめられるものの、エンタメビジネスの場合は「360度ビジネス」のように複合的なマネタイズの考えがあるとのことでした。
360度ビジネスの場合は中心の事業がそれほど利益をもたらさなくても、周辺のビジネスがそれを補った利益を出せる点があるそうです。

360度ビジネスとは
アーティストに関連する事業のみならず、アーティスト自身の魅力やオリジナリティを最大限に引き出し、ブランド化によって成立するビジネスモデルのこと。



ビジネス企画を作成する場合には「しっかり利益を出せる」ということを裏付けを持って示すとともに、それ以外の会社や事業、ブランディングへの貢献もその中のゴールとして組み立ててスタートされているそうです。

R&Dの立場から石川さんにもお話をお聞きしました。
「R&Dとしては、個々の利益を求めるだけではなく、将来のソニーの大きな事業の柱となる技術を目指さないといけないという使命もある」とのことでした。
そういった意識の元に研究内容の選定を行っていくことも重要とお話されていました。
R&Dから見たときのエンタメビジネス分野の難しさとしては、それぞれの事例での結果を出すだけでなく、その先に大きなところも目指しながら進めていかないといけないところにあるということでした。
エンタメビジネス分野では単発のイベントなどを狙うのではなく、「プラットフォーム」を作っていくことに1つの解があるのでは、というお話もあがりました。

「プラットフォーム」をキーワードに高橋さんにもお話を伺いました。
SME EdgeTechプロジェクト本部の「LSチーム」で行われているライブソリューションも1つの「プラットフォーム」であるということでした。
全国にあるZepp(ゼップ)というライブホール全てに展開することで、さまざまなアーティストが手軽に活用できるプラットフォームにしていくことを目指されているということでした。
その上でも「個別のコンテンツのみに最適化する」のではなく、「共通部分を抽出して他にも適用できるようにする」ということが大事とお話されていました。
また、エンタメの中でもコンテンツの種類ごとに「歯車の規模 = スケジュールと予算感」が違うというお話を伺いました。
例えば音楽ビジネスで1曲制作するのと、アニメビジネスで1本作品を仕上げるのとでは「制作時間」も「予算規模」も違うということでした。
音楽ビジネスでは短いスパンで年間数曲のシングルを発売して、そのあとにアルバムを発売するというサイクルがあり、アニメビジネスでは2年ほどかけて作品を用意していくとのことでした。
アニメの場合は設計図を用意しないといけない部分が大きいそうで、シナリオ、映像制作、演出、絵コンテ、アフレコなどさまざまな工程での準備を積み上げていく必要があるそうです。
そういったことを踏まえると「エンタメのプラットフォーム」を考えていく上でも、制作期間などを考慮の上、どういったタイミングでどのようなコンテンツと技術を投下していくかを考えることが重要なのではとお話されていました。

高橋さんからはアニメとゲームの制作フローが全く違うというお話も伺いました。
アニメとゲームの中でもスケジュール感や予算規模が大きくことなり、その両者の距離を埋めるためにも「異文化コミュニケーション」がとても重要ということをお話されていました。
「いかにお互いを啓蒙(けいもう)し合いながら進めていくか」ということが大事になっていくということでした。
エンタメとテクノロジーにおいても更に違った文化を持ったもの同士であることから、「異文化コミュニケーション」がより重要になるとのことでした。

テクノロジーにおいてもその中の分野ごとにさまざまな違いがあります。
テクノロジー分野でも「ハード」と「ソフトウェア」ではそれぞれの認識が違い、そちらも意識していくことも必要だというお話もありました。
異文化のコミュニケーションでは長期間での話し合いの機会を作っていくことがとても大事ということでした。


新しいテクノロジーだけが「テクノロジー」なのか / 新しいテクノロジーを導入することに対する試行錯誤

R&Dの方々とお話をすると「新しいテクノロジー = テクノロジー」という表現を使われるようにも感じます。
「新しいテクノロジー」ついてエンタメの現場でどう思われているか高橋さんに伺ってみました。

新しいテクノロジーに向かい合うときの難しさ
○エンタメの現場が新しいテクノロジーを理解する難しさ
○お客様に「新しいテクノロジーの価値」を伝える難しさ

普段からあるものであれば「その延長として」説明することもできるが、世の中と2、3歩先にいっているものだと「どうやって伝えていけばいいか」とても考えてしまうということでした。

松崎さんにも同様の質問を伺いました。
よくある話ということで「そのテクノロジーが本当に必要なのかどうか」と問われることがあるということでした。
その場合に、そのテクノロジーの使用を再検討するということもあれば、そのテクノロジーを用いることで生まれる価値について更に掘り下げて企画をブラッシュアップすることもとても多いとのことでした。

R&D石川さんは、「現時点で他社製も含む別の技術が良いということであればそれで進めてもらうことも考えつつ、仕込んでおけば将来にベネフィットがあるという部分について理解してもらい進めていくことも大事」というお話をいただきました。
将来のことを考えつつ、お互いにアイデアや技術をぶつけあっていけることがソニーグループが持つ価値なのではということもお話いただきました。


若手佐々木さんからのトークセッション・テーマ

今回から企画にも参加いただいた、2年目の若手の佐々木さんにたくさんのトークセッション・テーマをご用意いただきました。
そちらを元に後半のトークセッションを進めさせていただきました。

佐々木さんからのトークセッションテーマ


エンタメに人は何円までかけられると思うか? (マニアではなく、一般の人)

推しメンに大金をかける人を対象とするのではなく、一般のユーザーがどれくらいそのエンタメにお金をかけられるかということについて、どのように金額設定するのかをみなさまにお伺いしました。
佐々木さんは、「一回の映画にかけられるくらいの金額2000円くらい」が1つの基準になるのではと思われているとのことでした。
高橋さんからは映画料金の例について納得されながらも、金額検討の前に対象者の「ペルソナ」を設定することが必要なのではというお話があがりました。

ペルソナとは

サービス・商品の典型的なユーザー像のこと。
実際にその人物が実在しているかのように、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイルなどリアリティのある詳細な情報の設定を行って想定する。



メタバースのサービスの値付けについても伺いました。
佐々木さんの意見では、最初は無料から始めないとなかなか使いにくいと一般視点からのご意見をいただきました。
無料から利用できるようなビジネスモデルを構築していくことも必要なのではというお話でした。


VRデビルマン展の金額設定について

VRデビルマン展の金額設定について松崎さんにお伺いしました。
VRデビルマン点は「仮想空間エキシビジョン(展示会)」というところからはじまっていたため、「リアルの展示会の入場料」を1つの基準にされたとのことでした。
VRデビルマン展では1Dayチケット「2200円」、期間中参加し放題「5500円」で設定されていました。



VRデビルマン展での反省より「1日券はオンライン展示会にはそぐわないのでは」という意見があがったそうです。
オンライン展示はリアル展示会に行くのと違うということと、運営側の想定では「何回も参加するのでは」と思われていたそうです。
オンラインでの課金の難しさを痛感されたそうで、現在検討中のメタバースの分野でも同様の課題を抱えていらっしゃるということです。
オンラインでのサービスでは競合が安価での展開を行なった場合、その値付けが浸透するとそれ以上の金額は設定しにくくなるという課題もあるということでした。
また先ほどのペルソナの話のようにターゲットとするお客さんをしっかり設定して、その「可処分時間の使い方の傾向」を元にサービス設計&金額設計をするということが重要になるともお話されていました。


「ビジネスモデル」を考えることの重要性

石川さんからは「有名コンテンツ」や「人気コンテンツ」であればお金を払ってでもというユーザーも出やすいがそうでない場合は「無料コンテンツ」との戦いもあり、かなりハードルがあるのではということでした。
またフリーミアムのサービスのように入り口は無料でサービス内の課金によって収益化していくことも求められるように感じるとお話されていました。
「本来お金を出す価値があるもの」とユーザーにしっかり理解してもらうようにすることも重要であると感じるとのことでした。
ビジネスモデルをしっかりと作っていくことの大事さを痛感するお話をいただきました。
これからのメタバースの分野でも同様の課題があるということが想定されるということでした。


IPを正しく理解するということの重要性 / ソニーならではの強み

ソニーならではの強みについてもみなさまにお伺いしました。
佐々木さんからは「ソニーはコンテンツが強いイメージ / ソニーというブランドの元のコンテンツが強いと感じる」ということでした。
しかしIPに関しては例えSMEの中でも簡単に使えるものではないというところにお話が展開しました。

松崎さんからは「IPは、大切に育ててきたという関係者の想いがある」ため、そこへの敬意をもった配慮が必要ということでした。
IPのブランディングをしっかりと尊重し、それ以上の価値を生み出すことができるかを問われるということでした。
一見自社のIPだと見えるものでもたくさんのステークホルダー(利害関係者)がいることも忘れてはならないとのことでした。

石川さんからは「IPの利用やコントロールに関してソニーと他社との難しさの比較はあるのか」という質問もいただきました。
高橋さんからの回答としては「権利的な意味ではソニーだから他社だから難しいということはなくて、ほぼフラットな状況」ということでした。
アニメを制作する上でも原作者からの許諾や契約をもって行い、そこからビジネスを組み立てていくとお話されていました。
その中で「制作委員会」という仕組みを作ることも多く、一社の一存で決まることはなかなかないということでした。
そういった制約の上で「IPを簡単に使うことは難しい」とのことでした。

制作委員会方式とは
アニメ・映画・テレビ番組(主にドラマやバラエティ)などの映像作品や、演劇・ミュージカルなどの舞台作品を作るための資金調達の際に、単独出資ではなく、複数の企業に出資してもらう方式のこと。




売れるエンタメと売れないエンタメの違いとは?

難しい質問ながらも売れるエンタメ、売れないエンタメの違いについても伺ってみました。
原作が盛り上がっていてもアニメのフォーマットに合わない場合もあれば、逆にアニメにすることで盛り上がることもあるということで、実際の業界の人でもやってみないとわからない部分だということでした。
ゲームからアニメ、アニメからゲームにした場合も同様で、題材やフォーマットによっても面白くなるかどうかはやってみないとわからない部分が多いとのことでした。


エンタメ分野での挑戦のモチベーション・情熱はどこからくるのか

「エンタメ分野での挑戦のモチベーション・情熱は何か?どこからくるか?」という質問もみなさまに伺ってみました。
高橋さんからは「多感な若い世代へ良いコンテンツを届けたい」という想いと、「自分自身が多感な時代に影響を受けたコンテンツへのリスペクト」の気持ちが大きいと伺いました。


エンタメ側で技術的にまだ無理と思っているけど実現できたらうれしいことは何か?

技術的にハードルがありながらもエンタメ側が実現したいと思われていることについても伺ってみました。
松崎さんからは「スターウォーズでも登場するホログラム技術」を挙げていただきました。

スターウォーズ風ホログラム

【参考記事】 触れることができるホログラムも。SFエンタメの教科書にもなりつつある、
『マイノリティ・リポート』は何がすごかったのか…
https://www.cinematoday.jp/page/A0005016



実際に現在の時代にホログラムを実現するとしたらもっと高彩度なものが求められると思いますが、「推しメン文化」とも相性がありそうだというお話に展開しました。
これまでもスクリーンや他の技術を使っての挑戦はされてきていますが、「本当に何もない空間」でホログラムを実現することができるのであればいろいろなエンタメの可能性がありそうとのことでした。
高橋さんからも同様の質問に「ホログラム」のニーズを挙げていただき「ホログラムとテレビ電話したい」と要望をいただきました。
ホログラムサービスへの値付けについても「週1などの定期的に会えるサービス」など付加価値の高いものであれば高い値付けができるかもしれないとのことでした。
「アイドル召喚プラットフォーム」という石川さんのネーミングもユーザーのニーズに迫るものに感じます。


最後の質問:『研究を事業にするために必要なこととは?』

シリーズ名でもあり、シリーズを通しての最後の質問でもある『研究を事業にするために必要なこと』についてみなさまに伺いました。

松崎さんより
担当者およびチームの情熱。
如何にそのサービスや商品をお客様に届けたいかという熱量が一番大切。
あがってきた企画に対しても「当人」や「チーム」にどれだけの熱量があるかを1つの判断指標にすることもあるほど。


高橋さんより
自分の作ったキャラクターは自分の子供だと思うほど大事にしていた。
自分自身が企画しているもの、研究開発しているものに自分の子供と思うほど愛情を注ぐということが大事だと思う。
私(私たち)だけは、この子(企画や研究開発)を見捨てない、愛情を持って育てていくんだという情熱がとても大事だと感じている。
そして最後までくじけずに頑張ることが事業化へつながる。


石川さんより
『プラットフォーム』という言葉が今回の機会で一番響いた。
立場の違う「エンタメ側」と「研究開発側(テクノロジー側)」の間の共通のキーワードとして『プラットフォーム』という言葉はとても重要になってくると感じる。
コンテンツの魅力を増大し、定期的なアウトプットを出せるような『プラットフォーム』をこれからエンタメ側のみなさんとも考えていきたいと感じた。


佐々木さんより
みなさんのお話を聞いて『人脈』がとても大事だと感じた。


【補足】 石川さんによる考察スライド『プラットフォームとUGC』

石川さんによる考察

石川さんからトーク用素材としていただいていたスライドになります。
今回のトークテーマにも沿った内容で、コスト的にも持続的にコンテンツやサービスを提供する仕組みとして『プラットフォーム』が必要になるということをあげられていました。
そしてユーザー自身にコンテンツのバリエーションを生み出してもらう『UGC(ユーザー生成コンテンツ』がもう1つのキーになるのではと考察されていました。
研究開発に携わるみなさまにとって何かのヒントになればと思っております。


【おわりに】

シリーズ2回目として「エンタメxテクノロジー」を元にお送りさせていただきました。
お話にもありましたように、ソニーグループのこれからの可能性として、さまざまな方が挑戦されている分野ではありますが、まだまだ挑戦は始まったばかりです。
その中でこのような『情報共有』をいただいたり、『本音』を伺える機会はとても貴重に感じています。
『エンタメ側』と『テクノロジー側』の立場を超えての『場』がこれからのソニーグループにとってもとても大事な機会になってくると思っています。

本シリーズ企画は『トライアル開催』であり、今後については『未定』ですが、このような場の実現にご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました!
また何らかの形でお会いできる機会がありましたらその際にはよろしくお願いします。


【アンケート結果まとめ】

アンケートにご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!
みなさまの声は今後の参考にさせていただけたらと思っています。

Q.今回のイベントの内容で、良かった点、印象に残った点があればお書きください

○普段あまり気にしていない(気にしないようにしているのかも)、お金に関する話が非常に興味深かったです。
○SMEの風潮として、失敗してもいいから、ってマインドを公的な場で発表できるの良いなと思いました。そこの寛容さを今の職場で感じる事が少ないので。
○エンタメ×テクノロジーの取り組みがうまくいった事例について経緯などを聞けた点
○SME の生の業務がきけたところがよかったです
○組織的にどのように対応されているのか知らなったので、それがわかってよかったです。
○エンタメ関連のプロダクト開発における苦労話やその過程を聞くことができたこと。
○研究開発は2歩先、ビジネスは1歩先というギャップがある点。Pocの大切さ。
○エンタメに費やすコスト感覚が常識的過ぎだなと感じました
○Sec.1パートで登壇者の活動内容や意見がわかりやすく聞けた点
○SMSの現状紹介
○エンタメの人とテクノロジーの人が会話できる場が新鮮だった。お互いの認識違いも解消できるのではと思えた。
○実例/成果物を見ると実感や共感などがかなり湧くと思えました。逆に、実例が無いと本気で実現するのかアイデア止まりなのかなど 自信とか興味が出てこないことに気付きました。
○みなさんテクノロジー視点だけでなく、それをどうやってビジネス化するか考えられている点に驚いた。顧客ターゲットや金額設定など
○(当然のことであるが)正解が無い話で、一人ひとりの強い想いが重要という点。
○複数の事例に触れられたこと、どういった考えや思いを持ってリリースされたかが分かったこと
○事例紹介では成功している例がいくつか取り上げられていましたが、うまくいかなかった事例も合わせて紹介があれば成功させるためのヒントが得られるのではないかと思いました
○LINEのカラオケに関する話。この技術は知っていましたが、このような使い方があるのは興味深いです。
○自分は顧客と直に接する機会がないので、事例紹介などで、楽しそうな業務の話を聞き、うらやましく思いました。


Q.ご自身が求められる(欲しいと思われる)「エンタメ x テクノロジー」についてイメージがありましたらお書きください。

○そのテクノロジーでしか体験できないもの
○ホログラム
○手軽に楽しめるもの
○もっとエンタメが技術におりてきたり
コミュニティにおりてくるようなことがあるとよいです
今は、すべてお膳立てしてカッコよくして、さあどうぞ!という感じ
きれいでカッコいいけど、ストーリーを感じない
○宇宙旅行に実際にはいきたくない(体力的に)ので、まるで本当に行ったような体験をしたい。
○やったことがない新しいこと、でも理解はできて、ちょっと頑張ればできそうなもの。
○ライブの没入感と特典会の相互認識
○VRにより、リアル感のある操作入力と、そのフィードバックを受け取ることが可能な仕組み
○カメラを自由に移動して(例えば審判の位置で)スポーツを観戦する
○PS VR2のような機器が手軽に当たり前のように使える環境(ゲームや体験型アトラクション等)
○VR内の生活体現
○「絵が綺麗な 動くもの」。画質が低い 動くものには 異物感が残りやすい。
○①既存エンタメにテクノロジーを組み合わせて付加価値(変化)を見出す、②テクノロジーとテクノロジーを組み合わせて新たなエンタメ(もしく既存エンタメの高度化)を生み出す、③新たなテクノロジーをもとに新たなエンタメを生み出す、の3区分とした場合、③は世紀の大発見級で難易度が非常に高いもののチャレンジしつつ、①や②を日々の業務で考えていくイメージ
○最も人を引き付ける力を持つもの
○アーティストの世界観を肌で感じられる とか 近くに感じられるようなもの


Q.今回の機会を通して「エンタメ x テクノロジー」に対する理解やイメージは変わりましたか? (どう変わられたかなどメッセージがありましたらお書きください)

○お金のことももっと考えないといけないのかなと感じました。
○SMEもっとちかづいてほしいしエンジニア、テクノロジーももっとSMEに近づいた方がいい
○リアルとメタバースの融合など面白い。VRゴーグルはあまりかぶっていて快適と思えないので何らかの改善(全然違う発想)があるといいかもしれないと思った。
○プラットフォームを狙っているという視点
○事業化に向けた悩みがは共通点があるということ
○勉強になりました
○企業なので当たり前に目指す方向に違いはありますが、思った以上に壁が厚く接点不足なのだなと感じました
○やってみると案外面白い、となりそうな感触
○AR/VR、メタバースといった用語の先行型になりがちで、メタバースはバズワードし過ぎている感がある。メタバース上で何を実現するか?という話題は、エンタメ領域をいつの間にか狭めている気がする。
○コンテンツや技術の内容によって目指す形やゴール、アプローチ方法が異なるので、一つの成功事例を参考にしたとしても実現させることは思っているよりも難しいことなんだと感じた
○テクノロジーとビジネスの両方の嗅覚が必要という点が楽しかった。


Q.(イベントを通して)研究開発を事業に結びつけるのに必要なことは何だと思いますか?

○いろいろな人に知らせて、興味を持った人を巻き込むこと
○情熱と事業ドメインの理解
○ストーリーと投資とやりきること
○事業化に結び付けるまでのところへのある程度の投資。投資しないと知見も得られないとの言葉、その通りと思った。
○情熱、課題意識
○新しいことを、身近に見せる技術が必要だと思いました。
○現場の観察
○ニーズややりたいことを直感的に見出して、情熱的に取り組むこと
○「全員が給料分は利益に貢献すべき」という思想から逃れること。何十年も人件費を抑えてきて内部留保が溜まっているのだから、エンジニアに対する福利厚生だと思って、お金も時間も好きに(上限は設けて)使わせてあげたらどうでしょうか。
○熱い思いと行動力
○登壇者の方も言っていたがやはり熱意が重要だと思います。
○説明資料の出来も大事だけど、実物を見せるとだいぶ見る側・聞く側の印象は変わる。なので、実物・実例を見せることに主眼を置くこと。
○正解を求め過ぎないこと
○情熱が重要という話がありましたが、異なる部門や組織であっても同じようなことを考えて実現しようと情熱を持っている人がいると思うので、その人たちがつながればより成功率があがるのではないかと思います


Q.ご登壇のみなさまにメッセージがありましたらお書きください。

○好きを仕事にされているの自分のキャリアの見直しにもつながります、ありがとうございました。(SME行きたい笑)
○面白いお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。もっと深くお聞きしたいとも思いました。
○素晴らしいお話をありがとうございました
○ありがとうございます すばらしいです
○SMEの取り組みはすごく面白いと思った。もっとソニー全体に広めてほしい。(知らなかったのでアプローチできてない部署もいると思う)
○貴重なお話、ありがとうございました。
○話しづらいことも多々あったと思いますが、率直に熱量高くお話頂いていて、感銘を受けました。
○ご多忙の中、貴重なお話を頂き、ありがとうございました。
○あの場で語れるくらいの経験を積まれたことは敬意に値するし、正直羨ましいと思いました。
○貴重なお話をありがとうございました
○VR使ってる人とその周りの人の認識の差について、言及されてたことについて、VR機器内の表示のミラーリングな映像をディスプレイに同時に表示すれば、ある程度は解決すると思います。某マイナーな量販店ではそのようにされてました。
○楽しい議論、ありがとうございました。
○貴重なお話をありがとうございました。楽しそうにお話しされているのが印象的でした。
○楽しいお話しをありがとうございました。ぜひ、今後もお話しを聞かせてもらいたいです。


Q. 【今後に向けて】「応援のメッセージ」などがありましたらお書きください。(こういった「場」が必要かなども含めてご意見いただけると助かります)

○前回のメタバースでもそうですが、会のテーマに先んじて関わられている方々にお話を聞けることはなかなかないので、とてもありがたいです。
○今後も期待しています。
○また今回は、「ディスプレイなしでホログラム出来たらうれしい」という発言に対して「こういう方法なら可能性がありますよ」というコメントがすぐ来ており、とても面白いと思いました。
○このような「これが出来たら面白い」⇔「こういう技術でできます」というやりとりがもっと気軽にできるようになるとエンタメ×テクノロジーの新しいビジネスがたくさん生まれるのではないかと期待しました。
○普段聞けない話が聞ける貴重な場所だと思います。企画ありがとうございました。
○いつもありがとうございます
○面白い企画だと思いました。是非続けてほしいです。
○様々な経歴を持つ方々が対談するのを見る機会はそうそうないので、このような議論がなされる場が今後もあると有難いと思っています。
○私自身がこれからかかわっていこうとしているタイミングなので、とても勉強になりました。ありがとうございました。成功事例、ドロップ事例など、いろいろな事例をこれからも聞きたいと思いました。
○新規領域かつ新しい取り組みなので、ファシリテートは難しい部分もあると思いますが、いろんなアプローチを試して頂ければと思います。
○スタッフの方々はお疲れ様でした。
○営業の私にとって分からない事が多いですが、登壇者の皆さんの意志を感じられます。もっと上手く横連携が出来れば、ソニー全体の波及効果がUPすると思います。この様な場をもっと増やして欲しいと思います。
○会社はGrp間連系を、シナジーをと期待する意向を耳にしますが、現場に対してもっと”失敗を恐れない風土”を根付かせる事も大事で、こういった「場、機会」に発展するし、必要だなと感じました。
○今回は盛り上がりに欠ける内容だったが、この反省を生かして次回の段取りをうまくしていただけたらと思います。次回も絶対参加します!
○このような場は良いと思います.
○実物を見せて(頑張って!)
○テーマを変えてまた開催いただきたいと思います
○楽しく拝見させていただきました。入社2年目の方とかもいて、専門家っぽい人だけでないのも、身近に感じられて、よかったです。今後も楽しみにしています。


【ご協力お願い】 アンケートを引き続き受け付けております。ご協力よろしくお願いします!

アンケートについては引き続き受け付けております。
開催レポートやアーカイブ動画をご覧になって共感いただけましたらぜひお声をお寄せください!
今後の参考にさせていただきます。

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前回『メタバースとは』のレポートはこちら!

【開催レポート】Vol.1 「メタバースとは?」/ シリーズ企画「研究を事業にするには」